ラウンド農ふくしまWeb-センター通信(R8試験研究・業務)-
令和8年度 試験研究・業務の紹介
「ナガエツルノゲイトウ」に有効な除草体系
みなさん、こんにちは。浜地域研究所です。
令和6年度(2024年度)に、いわき市で外来植物「ナガエツルノゲイトウ」(図1)が確認されました。
東北地方では初めての発見です。
南米原産のこの植物は、ちぎれた茎の切れ端からでも根を出して増えるほど繁殖力が強く、関東以西の
各地で深刻な被害をもたらしています。
水路にびっしりと茂れば水の流れをせき止め、洪水や用水不足の原因になります。田んぼに侵入すれば、
稲に覆いかぶさって倒し、収穫量を大きく減らしてしまいます。いったん広がると根絶は容易ではありま
せん。だからこそ、まだ数が少ない今のうちに、地域ぐるみで広がりを食い止めることが何よりも大切で
す。
そこで、農家のみなさんや地域のみなさんに、この植物を見分けて適切に対応していただけるよう、資
料(農業総合センターホームページ研究成果 /uploaded/attachment/
680192.pdf)を作成しました。葉や花の特徴のほか、よく似た在来の植物との見分け方も、写真を交えてわ
かりやすくまとめています(図2)。ぜひお手元に置いてご活用ください。
そして、「もしかして、これかもしれない」と思う植物を見かけた時は、抜き取ったり刈ったりせず、
そのままの状態で次の窓口までご連絡ください。むやみに触ると、かえって切れ端が散らばって広がって
しまうおそれがあります。
○最寄りの農林事務所農業振興普及部・農業普及所
○農業総合センター安全農業推進部発生予察課(024-958-1709)
浜地域研究所でも、この植物への対策に取り組んでいます。このたび、田んぼに発生したナガエツル
ノゲイトウに対して有効な除草体系(図3)を、試験の成果として取りまとめました。
現在は、水田畦畔に発生した株に対する防除技術の確立と、ドローンによる空からの観察で発生をい
ち早く見つけ出す技術の開発に向けて、引き続き試験を進めています。こちらも成果がまとまりました
ら、あらためてみなさんにお伝えします。
地域の田んぼと水路を、みんなの力で守っていきましょう。

図1 ナガエツルノゲイトウの特徴 図2 ナガエツルノゲイトウの類似植物

図3 ナガエツルノゲイトウの防除体系と水田に発生したナガエツルノゲイトウに対する効果
「畜産研究所開発!マルチグレインサイレージ(MGS)」
トウモロコシは牛の餌として、とても重要な飼料原料です。
近年は、県内でもトウモロコシ子実のみを栄養価の高い濃厚飼料原料として利用する栽培も増えてきました。
子実は、乾燥するかサイレージ化(乳酸発酵)して保存・利用しますが、サイレージ化した場合は1個が400kg
以上と大きく、小規模農家では利用しにくい状況です。
そこで、畜産研究所では、小規模な繁殖農家でも利用できるよう、市販の配合飼料に置き換えて給与できる
トウモロコシ子実主体の混合飼料を開発しました。
この混合飼料は、トウモロコシの子実50%、規格外大豆38%、飼料用米12%の割合で混合してサイレージ化
したもので、40kgサイズのため小規模農家でも利用できます。繁殖農家での給与実証により、繁殖雌牛に問題
がないことを確認しています。
この混合飼料を「マルチグレインサイレージ(MGS)」と命名し、作り方を記載したリーフレットをホーム
ページで公表していますので、ぜひご覧ください。

開発したマルチグレインサイレージ リーフレット 掲載ページはこちらから
冷温貯蔵したリンゴ「べにこはく」の品質評価
生産環境部食料安全・流通加工科では、本県育成リンゴ品種である「べにこはく」の普通冷蔵(1℃)貯蔵試験
を行いましたので、その結果について紹介します。
「べにこはく」は「ふじ」に比べて重量減少率が小さく、貯蔵4か月後まで果汁感が感じられる果肉硬度を維持
し、十分な蜜入りが認められることがわかりました。
官能による商品性評価では、貯蔵4か月後時点で94%のパネリストから「商品性あり」の評価を得ました。
また、リンゴに含まれる抗酸化物質の中でも、特に高い抗酸化力を持つプロシアニジン類の含有量が、「ふじ」
に比べて多いことも確認されました。
ぜひ、見かけたときはお買い求めいただき、味を確認してください。

貯蔵4か月後の蜜入りの状況 プロシアジニン類の含有量
高温登熟性に優れる水稲有望系統「福島59号」
農業総合センターでは、高温登熟性(※1)に優れる水稲有望系統「福島59号」を育成しました。
近年、水稲が開花する7月~8月に猛暑となる日が増え、県内でも高温障害の一つである玄米品質の低下が発生
するようになりました。
「福島59号」は、高温条件下において、県内の主力品種である「コシヒカリ」に比べて白未熟粒(※2)の発生が
少なく、玄米品質が低下しにくいことが大きな特徴です(写真左)。
栽培面では、「コシヒカリ」より1週間程度出穂期が遅く、大粒で収量がやや多いことや、倒れにくく、いもち
病(※3)に強いという特徴があります。出穂期が遅いため、高温回避や収穫作業の分散が期待できます。
食味についても気になると思います。農業総合センターでは、毎年100名以上の職員から選出された40名ほどの職
員が実食して評価を行っていますが、「コシヒカリ」と同じくらい美味しいと評価されています。
2028年のデビューを予定しております。引き続き、「福島59号」を皆様とともに育てていければと思います。
※1 高温登熟性:開花後20日間に高温になると登熟しにくくなり、白未熟粒が発生する。高温登熟性が優れると玄米品質
が低下しにくい。
※2 白未熟粒:玄米の一部が白く濁っている粒のこと。
※3 いもち病:稲作にとって最も重要な病害の1つ。

高温登熟性検定試験の玄米 基肥窒素7kg/10アールで栽培した様子
あなた(牛)はおいしい牛?
福島県では、黒毛和種の牛肉の「霜降り具合(脂肪交雑)」について、AIを活用して、牛が生きている状態で
調べる『超音波肉質診断技術』を導入しています。
この技術は、福島県、帯広畜産大学、株式会社MIJ-laboが共同で開発しました。
これまで、超音波画像から肉質を正確に判断するには、長年の経験と、高い専門知識が必要でした。しかし、AI
技術を活用した「AI-MEAT」を使うことで、『誰でも熟練者と同じ水準で肉質を判断できる』ようになりまし
た。
「AI-MEAT」による肉質の推定結果は、牛の出荷時期や牛肉の品評会(共励会)への出品可否等を決める際
に役立ちます。これにより、高品質な牛肉を無駄なく、生産効率良く育てることが可能になります。
現在、この取り組みは県内で広く活用されており、年間およそ1,800頭の牛で実施されています。
ぜひこうした先進技術から生まれた「福島牛」を味わってみてください。



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