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知事と語る「ふくしまイクボス対話」

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年9月17日更新

4人

​ 県では10年間にわたり、知事自らが職員と「イクボス面談」を行い、仕事と家庭の両立を支援してきました。令和6年度以降は、県職員の男性の育児休業取得率が100%を達成しています。
 こうした取組をさらに県内に広げるため、県庁を飛び出し、経営者(イクボス)や従業員の方と直接意見交換を行う「ふくしまイクボス対話」を実施しています。
 今回は、男性の育児休業取得率が10年連続100%となっている、いわき市の福浜大一建設株式会社を訪問しました。
 「ワーク・ライフ・バランス」ではなく「『ライフ』ワーク・バランス」をキーワードに、子育てや家庭を大切にしながら働くこと、社員を大切にする職場づくり、そして若者に選ばれる企業について、佐藤社長、社員の皆さんと知事が語り合いました。

​ ■目次
1 「ライフ」があってこそ「ワーク」 ~イクボスになったきっかけ~
2 「取れ取れ」と言ってもらえる職場 ~制度と、支え合う文化~
3 子育てが仕事を変える ~時間の使い方、相手の立場、家庭という軸~
4 「お父さん、お母さんがここで働いている」と誇りに思える会社へ
     ~若者に選ばれる企業を目指して~

 1 「ライフ」があってこそ「ワーク」 ~イクボスになったきっかけ~

知事
皆さんこんにちは。今日は福浜大一建設さんで、ふくしまイクボス対話をさせていただきます。
今日のキーワードは、「ワーク」ライフバランスではなく、「ライフ」ワーク・バランス。
我々、昭和に生まれて、昭和・平成・令和と社会人として仕事をしてきましたが、当時は仕事中心で、ライフはそっちのけみたいな時代でした。
けど、今は昭和でも平成でもなく令和です。
令和の働き方。これはやはり「ライフ」ワーク・バランス、人生・生活がまず大事なものとしてあって、一方でワークも頑張ろうっていうバランスのとり方に変えていかなきゃいけない。それが令和の働き方だと思っています。
 知事5   三人

そして、佐藤社長が率いる福浜大一建設さんは、男性の育児休業がすでに10年連続100%。男性も女性も100%取るのが当たり前なんですよ。
男性の育休取得率は、県内の企業全体でも55%まで伸びていますが、まだ半分の企業がこれからというところです。10年間、100%で頑張っておられる皆さんから、どういう思いで働き方改革をされてきたのか、教えていただきたいと思っています。

佐藤社長
佐藤毅です。今週の日曜日で64歳になります。
社長1

知事
おめでとうございます!私の2年先輩です。よろしくお願いします。

山本課長代理
総務部の山本です。入社して22年目になります。ずっと総務部にいまして、今は人事採用関係を主に担当しています。

山本さん1

根本さん
総務部の根本と申します。庶務的な業務をしつつ、IT関係、パソコンやネットワークの窓口を担当しています。

根本さん1

知事
今日ね、この直前まで双葉といわきでサイクリングをやってきたんですよ。つい先日、ふくしま浜通りサイクルルートがNCR(ナショナルサイクルルート)に指定されて、知事が今日初走りということで、ちょっと太ももは疲れているんですが(笑)、脳はガンガン働かせながら対話したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
まず佐藤社長、イクボスになる前の働き方、そしてイクボスになられたきっかけを教えていただけませんか。

佐藤社長
自分自身が30代の時、実は子どもが5人いるんですが、ほとんどイクボスとかけ離れたところにいて。育児休業も取っていません。 知事と社長2
今から21年前、2005年に大一建設と合併しまして、文化が違う中で、どうやったら一つにできるか。
当初は定着率もあまり良くなかったんですよ。自分の30代の反省もあり、どうやって定着率を上げるかという中で、心の豊かさ、家庭での安らぎ、そんなものがあって初めて仕事が成り立つのかなあ、それを大事にしていきたい。そんな思いから、イクボス宣言につながっています。

知事
お子さんが5人生まれて、おそらく子育ては奥様が非常に頑張っておられたと思うんですが、やっぱりそれに対する反省と、また一方でライフを大事にすることがワークにつながる。
また離職率が高かったということがあるので、辞めてしまう方を止めるためにも、ライフを大事にしているよって。
実は「ライフを大事にする」って、「従業員さんを大事にする」のと同義語ですよね。

 

2 「取れ取れ」と言ってもらえる職場 ~制度と、支え合う文化~

知事
続いて、佐藤社長は実際どんなイクボスなのか、率直な意見を教えてください。

根本さん
弊社は、男性を含めた育休取得率が100%で、社長をはじめとする経営層の理解と意識改革があり、普段から管理職文化として浸透していることが大きいと思います。
私自身も、上長から「いつ取得するのか」っていう声がけが積極的にありました。相談した時にも人事配置をしていただいて、無事取得することができました。
根本さん3

知事
今、根本さんから出た言葉で大事なのが、上司からの声がけですよね。
育児休業という制度そのものは昔からあるんですが、使いたいと思っていても、自分から言い出すのは難しい。
それが今は、上から「いつ取るんだ?いつ取るんだ?」って言って声をかけてもらえる。これはすごく大きいですよね。

その声がけを「文化」とおっしゃったんですけど、福浜大一建設さんでは、上司が部下に「どうだ、取らないのかい、取っていいんだぞ」と言ってくれる。だから「ありがとうございます。じゃあお願いします」とスッと言える。
その文化がすばらしいなと思います。

山本課長代理
社長は家族思いの一面がありまして、子どもの学校行事で休む時にも、「楽しんできてね」と快く送り出してくれます。
社員の声もよく聴いてくれて、みんなで社員旅行に行きたいとか、食事する場があったら嬉しいとか、言ってみると「じゃあ行こうか」と言ってくださる。皆で楽しむ場を提供してくれる、そういう社長です。

社長と山本さん1

知事
なるほど、すごく話しやすい関係なんだなというのを感じています。
今日会社に入ってきた時も、門の所で待っていただいている方、また中に入って挨拶した時も、皆さんぱっと笑顔になるんですよ。
特にご家族や子どもの学校の関係で「ちょっと休みます」といった時にニコっと笑って応援してくれるのって、大事ですよね。
この忙しい時に取るんだ?って怖い顔されたら、次が言いづらくなる。
その点、社長自身がリーダーとして率先して、取りやすい雰囲気をつくっている。これは福浜大一建設さんの社風、文化として宝物ですよね。

知事
それでは、子育てで助かった会社の取組について、根本さんから教えていただけますか。

根本さん
ファミリーサポート休暇やテレワークがとても助かりました。
ファミリーサポート休暇は、育児、介護などで時間単位で休暇を取得できるものです。実際に私自身も、復帰後、子どもが体調不良でどうしても休まなくてはいけない場面がありました。
その時に気兼ねなく制度を使えて、会社全体で支えてもらえているんだなというのを、すごく感じました。

知事
会社全体の支え、これは先ほどの「雰囲気」とか「文化」と通じるんだけど、やっぱり大事なのは、ファミリーサポート休暇というように明文化してあること。
まず制度があることと、その制度を取りやすい雰囲気、その両方がないと安心して活用できないんだろうなと思います。
また「ファミリーサポート」という言葉が良いですよね。
家庭を支える、家族を支える、従業員さんを大事にするという根っこが、「ファミリーサポート」という言葉の中にぎゅっと詰まっているなと感じました。

山本課長代理
私の時代にはまだファミリーサポート休暇はなかったんですが、子どもが急に熱を出して帰らなければいけない時、同僚が「ここは私がやっておきます」と協力してくれました。
今後は次の世代、若い人たちが同じような状況になると思いますので、私が協力してもらった分、協力していきたいなと思っています。

知事
ファミリーサポートが無い時も、やっぱり大事だったのは職場の仲間ですよね。
お互いさまなので、いずれ恩返しするよという思いを持っていると、次もニコっと笑顔で引き受けることができる。これすごく大事だと思います。
特に男性の育児休業は、一旦職場から外れるんですよね。その期間は誰がどうするの?というところは県庁でも問題になっています。
そういったものも嫌々やらされるだけじゃなくて、「お互いに支え合う立場になることもある」という思いを持つことは大事だなと思います。

知事
社長、ここまで聞いて感じたことがあったらお願いします。

知事3

佐藤社長
改めて、上司から、本当に取れ取れって言われるのはありがたいことだなぁと思いますし、それが無いとやはり取りづらいでしょうね。
また、わが社は建設会社なので、現場を持っている人間を休ませるのはなかなか大変です。
ただ今は、複数で担当する現場が多くなってきているので、カバーしやすくなってきています。そうすることで現場が休暇を取りやすくなっていますので、今後も継続していきたいです。

知事
ファミリーサポート休暇は、どういう思いで作られたんですか。

佐藤社長
子育てをすると、ワンオペでは難しいこともかなり出てくるので、どうやったら社員の奥様のサポートができるのか、どうやったら気兼ねなく休めるのか、そんな思いでファミリーサポート休暇を作りました。

社長5

知事
「イクボス」という言葉も大事なんだけど、どうしても赤ちゃんが生まれた時の育児休業に集中しちゃうんですよね。
ただ、「イクボス」の中には介護も入っていて、御両親やおじいちゃんおばあちゃんの介護で休まなきゃいけない場合もある。
育児のための休暇であれ、介護のための休暇であれ、「イクボス」の概念は実は全部含んでいるんですけど、なかなか言葉では伝わりづらい。
むしろ「ファミリーサポート」の方が本質的に全部を含んだ、すごく幅広い良い言葉だなあと思っています。

 3 「子育てが仕事を変える」 ~時間の使い方、相手の立場、家庭という軸~

知事
それでは最後、子育て等が仕事に与えてくれている良い影響についてお話を伺いたいと思います。

根本さん
私は第一子が生まれて1年ちょっとなんですけど、育休を経験することで意識と行動に変化があったと思っています。
特に業務をする中で時間の使い方が大きく変化しました。限られた時間の中で最大限のパフォーマンスを発揮する対応力が身についたと思います。
また、育児する中で、相手の立場に立って考える力や、より分かりやすく伝える力が身についたと思っています。
子育てと家庭という、仕事以外の軸ができたことで、モチベーションが上がって活力になっています。
そして、職場に助けてもらっているので、私自身も会社に貢献したいという強い責任感を感じています。

根本さん2

知事
根本さん、すばらしいスピーチでした。
今4つのキーワードをいただきました。
まず1つ目は「時間の使い方」。タイパですよ。
一日が24時間と限られている中で、どうやって優先順位をつけて、テキパキ段取りを作ってこなすか。これは絶対やらなきゃいけないですよね。
2つ目が「相手の立場」。特に赤ちゃんは何で泣いてるんだろうとか、どうしていまひとつ元気がないんだろうとか、言葉で伝えてくれないので、そのとき考えなきゃいけない。それは職場でも応用がきくんだろうなと思います。
3つ目が「軸」。自分に家族という軸があることは、「ライフ」の本質だと思います。
そして最後は、お世話になっている会社に貢献するという「責任感」。
すごく大事な4つのワードを上手にまとめてお話いただいてありがとうございます。


山本課長代理
私も時間に関することで、子育てをしている間は時間がいくらあっても足りなくて、家事を早くこなすことに力を入れてました。
休日に食材を買ってきて冷凍しておく。平日はレンジとか、電気機器でタイマーをかけている間にお風呂掃除したり、子どもの明日のお弁当の準備をしたり。
子どもを寝かしつけた後に、私はお酒が好きなんですけど・・・

知事
いいねえ。

山本課長代理
ビールを飲みながら好きなドラマを見たりとか。
そういうところが仕事の中でも、やるときはやる、休憩するときは休憩する、そういったメリハリのついた働き方ができるようになったと思います。

山本さん3

知事
なるほど。時間の使い方って、ライフにとっても大事で、ワークにとっても絶対大事ですよね。
特にどれだけ集中して優先順位をつけてやれるか。あと、一つのことをこなしつつ次のことも同時にできるか。聖徳太子じゃないけど、お子さんが同時に話しかけてくるみたいなときもあったりするんじゃないですか。
それで、仕事をデュアルあるいはトリプルでやっていく力が間違いなく磨かれると思うんです。
一方で、集中して働き続けるのにはやっぱり限界があって、メリハリも大事です。

知事

今日はいわき市の内田市長と一緒に七浜海道をサイクリングしたんですよ。
いつも会う時は背広でネクタイをして、会議で並んで座ってガリガリやってるんですけど、そのときと全然違って、リラックスしている時の方が俺たちいいアイデア出るんじゃね?って話をしたんです。
そういうメリハリも大事ですよね。

 4 「お父さん、お母さんがここで働いている」と誇りに思える会社へ
 ~若者に選ばれる企業を目指して~

知事
それでは佐藤社長、最後に、これからも未来に向かってどんな職場を作りたいか、思いを教えてください。

佐藤社長
まずいわきは、高校を卒業すると首都圏に行く人が多いんですよ。そして帰って来ないんです。
ですから、業績や仕事内容も大事なんですが、その他にライフワークバランスを整えることで、学生さんに振り向いてもらって選んでもらえる、そんな企業になりたいなと思います。

あと、社員それぞれが、いい社会人として経験を積んで、いい大人になってほしい。
そして何よりも、彼女彼らの子どもたちが、「うちのお父さん、お母さんが福浜大一建設で働いてる」っていうのを自慢にできる、そんな会社になりたいと思っています。

知事
知事たて まず前半で、いわきで生まれていわきで育った子が、高校大学を卒業した後に出ていってしまって、なかなか戻って来ない。これは統計的にも事実です。
もちろん若い世代が、自分自身の人生、仕事や家庭をどこで作るかを選択してもらっていいんです。彼らが考えた上で決めたことは尊重するし、応援します。
ただ一方で、小学校・中学校・高校とか小さいうちに、地元のいわき、小名浜、あるいは県内にいろんな素敵な職場や企業があることを知ってほしい。
それを全く知らないまま、知っているところにポーンと入って、そのままふるさとと関わりがなくなっちゃうのはもったいないと思っています。
県の『感働!ふくしま』プロジェクトで、身近にすごく素敵な仕事をしている、かっこいいお兄さんお姉さんたち、お父さんお母さんたちがいることを知って、ふくしまで働くことも一つの選択肢だと知った上で、最後に選んでもらいたい。
一部の子には、良かったらぜひ戻ってきて僕らと一緒に働いてほしいなと思っています。
福浜大一建設さんが、その第1候補に入ってくるためにも、「ライフワークバランスやってるぜ」ということを、多くのいわきの子、あるいは近隣の子に知っていただけるように、一緒にPRしていきたいと思います。

あと大事なことが「プライド」で、いわきプライドなんですけどね、いわきって本当にすばらしい。
昭和に大合併してできたこのいわき市には、全てがあるんだ。これだけ恵まれた地域はなかなかないんだ。それをまず誇りに思ってほしい。
いわきで暮らして、いわきで働くこと、いわきでご家庭を作ってお子さんを産んで育てることは、すごく素敵な選択肢だと思っています。

「青い鳥」は東京や大阪や仙台だけじゃなくて、ここいわき、またここ福島県にもいっぱいいるんだよ、ということをぜひ知っていただきたいと思っています。
たまたま福浜大一建設さんは「青い鳥」の「青」が企業カラーで共通していますが(笑)、今回のイクボス対話で教えてくださったことを積極的に発信して、次の若い世代が笑顔で入ってくれて、そして汗をかいて一生懸命頑張ってくれる、そんな企業になっていただけるように、我々も一緒に取り組みたいと思います。

本当にすばらしい対話、ありがとうございました。

知事と社長  笑顔

 

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