知事定例記者会見
■日時 令和7年8月18日(月曜日)10時00分~10時19分
■会場 応接室
【質問事項】
1 政府のコメ増産への方針転換について
2 農業の担い手の確保について
3 戦後80年について
4 県職員採用候補者試験の最終合格倍率について
5 ALPS処理水の海洋放出から2年を迎えることについて
6 除去土壌等の県外最終処分について
7 合計特殊出生率の指標について
8 楢葉町の避難指示解除から10年を迎えることについて
【質問事項】
【記者】
始めにコメの安定供給について、お尋ねいたします。
前の話になりますが、石破首相がコメの安定供給に関する閣僚会議で、コメ増産へと政策を転換する、と表明しました。
新潟・福島・山形三県知事会議でも話題になったところでありますが、改めて知事の受け止めと、国に対して注文等あればお尋ねしたいと思います。
【知事】
先般開催された関係閣僚会議において、石破総理からコメの増産や農地の集約による生産性の向上、輸出の拡大など、今後のコメ政策の方向性が示されました。
コメの増産については、生産者、農業者の皆さんがこれからも安心して米づくりを続けることができることが重要であります。
国においては、需要と供給のバランスを踏まえながら、具体的な増産の目標について丁寧に議論を重ねていただき、輸出の拡大等も含めた新たな政策パッケージを明確に示していただきたいと考えております。
県としては、引き続き、国の対応を注視してまいります。
【記者】
(コメの)増産に舵を切るとして、やはり担い手の確保というのが一番大事なのかなと思います。
農業者の高齢化が進んでいたり、人数そのものが減っている中で、県としてどのような取組をされていくか考えをお聞かせください。
【知事】
今回のコメの政策、あるいは令和のコメ騒動という状況がこの一、二年、継続しています。
その中で、本県、あるいは全国において、農業者の皆さんの年齢がどんどん上がっている現状がございます。また、最近の猛暑や水害等の事情もあり、農業を安定的に経営することが非常に困難な環境があると考えております。
県としては、若い世代等に、農業分野に意欲を持って参入していただきたいという思いから、JAや農業関係団体と連携し、新規就農や定着を支援するためのセンターを立ち上げております。
おかげさまで毎年300名を超える方が新規就農している状況であります。
ただ、この米価の動向が非常に重要でありまして、継続して安定的に生産できる状況になることが、新規就農者だけではなく、御高齢の方も含め、「自分の田んぼを守るんだ」と意欲を持って頑張っていただいている皆さんに希望を与える部分になります。一方で、消費者の皆さんからすれば、米価の高騰は中々大変な部分もありますので、需要と供給のバランスを大切にしつつ、安定的な政策を構築していただくことが重要だと考えております。
県としては、これからも新規就農支援に力を入れるとともに、年配の方々も希望を持って農業に従事することができるよう、幅広い取組を継続していきたいと考えています。
【記者】
戦後80年についてです。
15日、終戦から80年となりました。
時の経過とともに、戦争体験者が減っている中で、この記憶の継承と平和の尊さというものを県としてどのように伝えていくか、その辺りの知事の考えをお聞かせください。
【知事】
先の大戦において、尊い命を落とされた戦没者の御霊に対し、謹んで哀悼の誠を捧げます。
戦後80年という節目が経過する中、国外に目を向けますと、長期化するロシアのウクライナ侵攻や、イスラエル・ガザ地区での武力衝突など、世界各地で人道的危機が深刻さを増しています。
改めて命の大切さや、平和の尊さを実感するとともに、こうした思いを次の世代、未来の世代へと、しっかりと継承していかなければいけないという思いを新たにしております。
この80年間、日本においては、戦争を直接体験しておりませんが、世界の各国においては、多くの国・地域が戦争を経験し、非常に厳しい状況に置かれ、あるいは苦しい経験をされているところであります。
これからも、日本、そして世界の平和を希求しながら、復興と地方創生を更に前に進め、県民の皆さんお一人お一人が、80年前の経験をしっかりと心に置きながら、未来に夢や希望を持っていただくことができるよう取り組んでいきたいと考えております。
【記者】
先日発表された、県職員の採用候補者試験の最終合格者の倍率が全体で1.9倍と高くはない状況です。
この数字に関する受け止めと、本日、県庁の見学ツアーもやられているかと思いますが、改めて学生の皆様に呼び掛けたいことがあればお願いします。
【知事】
現在、国内において、公務員に対する志望が、民間の経済状況等も反映しながら、徐々に低下していることが現実かと思います。
福島県庁も例外ではなく、また、県内の59市町村においても、一部の自治体においては、採用に非常に苦労されている部分があろうかと思います。
一方で、公務員が任されている仕事は非常に重要であり、県、市町村がしっかり行政を担っていくことが県民の皆さんにとっても大切なことであります。
この公務の重要性というものを、若い方々に分かりやすく発信し、共感を得ていく。また、処遇等に昨今の経済状況等を反映して、できるだけより良くしていく。試験の方法等も、従来と同じやり方だけではなく、幅広い採用方式を採り、中途採用についても門戸を広げていく。就職のPRも、県内だけではなく、首都圏等においても、より明確に発信していく。こういう努力を現在、重ねているところであります。
こういったものを毎年より良くしていかないと、志願される学生の皆さんに届かない部分があると思います。また、入庁してからの職場環境も大事だと考えており、イクボス(面談)や年次有給休暇が取りやすく、風通しのよい職場で、若い方も活発に意見を言いやすい環境。こういった部分の工夫も必要かと思います。
これからも、我々と一緒に「県職員として頑張ってみよう」「これからの福島県を自分自身が担っていこう」と思っていただける若い方々を増やせるように、努力を重ねてまいります。
【記者】
福島第一原発について、今月24日でALPS処理水の放出から2年を迎えます。
改めて知事として処理水の是非と、今後、東電に対する要望等あれば伺います。
【知事】
ALPS処理水については、令和5年8月24日に海洋放出が開始されてから間もなく2年となります。
現在、今年度3回目、通算14回目の海洋放出が行われていますが、これまでのところ放出作業は計画どおり行われています。
処理水の海洋放出について大切なことは、長期にわたって継続的に安全を確保し続けること。そして、異常がないという科学的な事実に基づく情報を国内外に分かりやすく発信し続けることであります。
国及び東京電力においては、引き続き、想定外の事態が生じることがないよう、万全の対策を講じるとともに、正確で分かりやすい情報発信に取り組んでいただきたいと考えております。
また、先日、官房長官と共に、私も福島第一原発を視察しております。
その際、東京電力の幹部に対し、今お話しした思いを伝えるとともに、漁業者や水産に関わる皆さんが、異常がない状態が続くことを心から願っていることや、今後の長い放出計画の間、一切異常がない状況が続くことが彼らにとって本当に重要であり、しっかりと気を抜くことなく、作業に取り組んでほしいという思いを直接お伝えさせていただいたところです。
【記者】
先日、官房長官が来県をして、除去土壌の県外最終処分に向けて、今後5年程度の工程表を今月中に取りまとめるという方針を明らかにしました。知事がこの工程表に期待することを教えてください。
【知事】
先週、来県された林官房長官は、除去土壌等の県外最終処分に向けたロードマップについて、今月内に取りまとめるという考えを示されました。
除去土壌等の県外最終処分は、中間貯蔵施設の受入れという苦渋の決断を行った際に、その前提として、国が約束し、法律に定められた国の責務であり、必ず実現されなければなりません。
一方、約束の2045年3月までに残された期間は20年を切っています。
国においては、除去土壌等の県外最終処分の確実な実施に向け、具体的な方針や工程を速やかに明示し、進捗管理をしっかり行いながら、政府一丸となって取組を更に加速させるとともに、最後まで責任を持って対応していただきたいと考えております。
【記者】
県の総合計画で掲げられた目標の合計特殊出生率が、1.80から1.33に引下げられました。現状が2024年、昨年で1.15と、下方修正後の目標に対しても開きがある状況だと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。
【知事】
合計特殊出生率の指標については、県民の希望出生率に基づき設定しています。
昨年12月に、福島県人口ビジョンの更新に当たり、「結婚・子育てに対する県民の希望と幸福度調査」の結果から、県民の希望出生率を1.51と算出しました。
今回、この希望出生率を踏まえて、総合計画における合計特殊出生率の指標について見直しを行ったところであります。
今後とも、県民の皆さんの希望を叶えるため、出会い・結婚、妊娠・出産、子育ての各ライフステージに応じた、切れ目のない支援に取り組んでいきたいと考えております。
また、この希望出生率の問題は、県全体の人口減少と直接関わる極めて重要な問題であります。
現在、人口減少対策、地方創生については、オール福島で取り組んでいるところであります。
特に、若い世代の思いを積極的に伺いながら、県の総合的な政策にその思いを反映し、人口減少の幅が緩やかになるよう、力を入れて取り組んでいきたいと考えております。
【記者】
少し先の話で恐縮ですが、来月の9月5日で、楢葉町の避難指示解除から10年になるかと思います。
ほぼ全域が避難指示となった自治体としては、避難指示の解除が初めてで、比較的帰還者や移住者が戻ってきたり増えていたりすると個人的には思っていますが、知事の現状の楢葉町の復興の評価と何かしら課題があるとお感じになっていればその辺りをお伺いできればと思います。
【知事】
楢葉町の避難指示解除から間もなく10年、この間、「長かった」という思いと、「あっという間だった」という思いと、その両方が胸の中にあります。
12の市町村が避難地域に指定され、特に、全町全村避難に見舞われた自治体は、本当に、御苦労を重ねてこられました。
楢葉町は全町避難となった自治体の中でも、ある意味トップバッター的な位置付けで、避難指示解除が行われ、現時点で7割近い方々が居住されており、この10年間の努力が、今、楢葉で頑張って暮らし、仕事に取り組んでいただいている方々の姿につながっていると評価しているところです。
一方で、震災前の楢葉町のことを思いますと、ゼロから7割まで増やした部分は、前進だと思いますが、まだ3割程度が戻っておられない、居住できない方々がいるということも事実であります。また、現在住んでおられる方の中には、移住、定住された方もかなり増えておりまして、震災・原発事故前の楢葉と今の楢葉は違うという現実があります。
もちろん、Jヴィレッジが完全に復活・再生し、オリンピックの聖火リレーのグランドスタートの地に選ばれたり、インターハイが開催されたりと、明るいニュースもございます。
ただ、本来の楢葉の姿を御存知の住民の方からすれば、古里の復興・再生には一定の時間が掛かると、腰を据えて頑張っておられる方もおります。
避難指示の解除時期に応じて、新しい政策需要も出てまいります。
第3期復興・創生期間の今後のスキームの在り方についても、現在、令和8年度予算の要求において、国と協議を進めているところであります。避難指示解除が比較的早期だった自治体においても、避難指示解除が後発で、まだまだこれからという自治体においても、それぞれが望む復興の姿を追い求めることができるよう、制度をつくり、財源を確保し、一緒に取り組んでいきたい、といった思いをこの10年の節目に向けて、新たにしたいと考えております。
(終了)
【質問事項】
1 政府のコメ増産への方針転換について
→農林水産部水田畑作課 電話024-521-7359
2 農業の担い手の確保について
→農林水産部農業担い手課 電話024-521-7343
4 県職員採用候補者試験の最終合格倍率について
→総務部人事課 電話024-521-7032
→人事委員会事務局採用給与課 電話024-521-7590
5 ALPS処理水の海洋放出から2年を迎えることについて
→危機管理部原子力安全対策課 電話024-521-7252
→企画調整部風評・風化戦略室 電話024-521-1128
6 除去土壌等の県外最終処分について
→生活環境部中間貯蔵・除染対策課 電話024-521-8638
7 合計特殊出生率の指標について
→企画調整部復興・総合計画課 電話024-521-7922
→保健福祉部こども未来局こども・青少年政策課 電話024-521- 7198
8 楢葉町の避難指示解除から10年を迎えることについて
→企画調整部避難地域復興局避難地域復興課 電話024-521-8434
→企画調整部企画調整課 電話024-521-8624